こんにちは、互換屋です。
今回は、「互換ブース 設置配管方法1【設置編】」に続き、アルミフレキパイプの配管時のコツや注意点の説明をしたいと思います。
●アルミフレキパイプの「配管」について
互換ブースは吸引した空気(塗料の顔料や溶剤ミスト)を屋外へ排気する為に、互換ブースの排気ユニットと壁側に開けた穴をアルミフレキパイプで接続して使用します。
互換ブースの性能を最大限に引き出す為の排気ユニット(互換ブース本体)と壁面開口穴との理想的な配管は、
主に下記のようになります。
・排気ユニットと壁側開口穴の間を極力短く接続する。
・アルミフレキパイプは、極力曲げずにストレートに接続する。
・フィルターを後付けする場合、あまり目の細かいネットやフィルターは使用しない。
【アルミフレキパイプの径サイズについて】
互換ブースで使用するアルミフレキパイプの径サイズは、下記となります。
・スタンダードタイプ/スリムタイプ・・・・・・φ125mm(直径125mm)※フルセットに同梱付属
・マイクロタイプ・・・・・・φ100mm(直径100mm)※別売り
ホームセンターなどで取り扱っているダクト配管関連の標準サイズは、φ75mm、φ100mm、φ150mmとなっています。これは、今般の住宅設備等の施工標準がこのサイズになっている為のようです。
互換屋の開発チーム内でも、スタンダード/スリムタイプの製品化の際に、このパイプ径をφ125mmとするか否かで、かなり時間を費やして議論した点の一つとなっています。
製品化を行うときに理想的なのは、イメージを全て実現する、目指す、ことだと思いますが、理想を追い求めすぎると、実現が遠のくこともありますので、
互換ブースの開発思想では、互換ブースとしての製品使命は何なのか。という所を常に意識し、
・エアブラシやスプレーなどの噴霧ミストを確実に吸排気する事。
・販売価格を低価格にする事。(シンナー臭い悪環境で模型をされている方の環境をより安くで改善できるようにしたい。)
の2点を絶対条件に掲げ、この2点を達成するために、その他はやむなくですが、ある程度の所でユーザー様にも妥協していただく。
という方針で取り組みました。
2点の目標を達成するために、様々なタイプのファンや換気ユニットなどを検証、データ収集を行いましたが、イメージに合致するものが無く、
一から互換屋オリジナルの排気ユニットを開発した方が早い、という結論に至り、現状の排気ユニットの製品化となりました。
排気ユニット開発のファン選定段階でアルミフレキパイプ径の問題(一般入手困難)は浮上していましたが、どうしても製品性能の目標設定値をクリアする為には、ファン径が120mm必要という評価結果であったため、互換屋がφ125アルミフレキパイプを一括で仕入れる事として、互換ブースに同梱セット販売(フルセット販売)とする方法でコスト面と供給面をクリアしているというのが経緯です。
後々、交換用のパイプが欲しい方も出てくると思いましたので、互換屋ショップでオプションパーツとしても取り扱う事としました。
ネット通販で互換屋よりも安く入手できるところがあれば、勿論そちらでお買い求めいただければと思いますし、運よくホームセンターなどで取り扱いがあるところを見つけられた際は、そちらでご購入いただくのが、送料もかかりませんし、安く、早く入手可能かと思います。
どうしても入手が出来ない場合は、互換屋ショップでお買い求めいただければと思います。
排気用アルミフレキパイプφ125mm/0.5m(互換ブースパーツ)
排気用アルミフレキパイプφ125mm/1m(互換ブースパーツ)
マイクロタイプには、アルミフレキパイプは付属しておらず、お客様にて別途ご用意していただくようにしていますが、マイクロタイプの場合、排気ユニット内に使用しているファンに80mmを採用していますので、必要なパイプ径はφ100mmとなります。
φ100mmのアルミフレキパイプは、全国どこのホームセンターにでも一般的に流通していると思いますし、通販でも取り扱っているところは沢山あるかと思いますので、お客様ご自身で容易に入手可能という点と、マイクロタイプに付属して販売しようとした場合、逆に梱包サイズが大きくなり、輸送コスト(送料)などが割高になってしまうという判断で、あえて別売りとしております。
【配管方法】
先述した通り、まずは
「排気ユニットと壁側開口穴の間を極力短く接続する。」
という事を目標に、窓との接続配管をイメージして、設置スペースの確保と同時に排気ユニットの取付け位置を検討します。
互換屋で実稼働している一番短い接続が下記の画像のものとなります。右側面に排気ユニットを取り付けし、互換ブース設置の右横が窓側ガラスとなっている環境に設置しています。アルミフレキパイプの長さは約25cmです。
(この配置が出来る設置環境の場合、互換ブースの性能を最大限に発揮できる環境と言えます)
ちなみに、この写真の窓部分は木枠を作りベニア板を貼ったもので窓ガラス一面を塞いだ状態に施工していますので、日光の紫外線も直接当たらないようになっています。
互換ブースを動かす時だけ、窓ガラスを開けるようにして使用しています。
写真の例では、スタイロフォームを養生テープでベニア板に固定していますが、互換ブースの開発初期の頃の名残りで、最初は互換ブース本体に排気ユニットを取り付けるスタイルではなく、壁面側に排気ユニットを取り付けるような方式だった為、このベニア板に色々な形の穴が開いている状態のまま、現行の互換ブースに置き換えた際に、このような状態になった。というだけです。
したがって、通常はφ125の穴が1つ開いている状態でOKです。
互換ブースに付属のφ125mmパイプは1mのものが付属していますが、蛇腹になっているので、引き伸ばすと約3m程度の長さまでパイプを伸ばすことが出来ます。
パイプを伸ばす時は、パイプを潰してしまわないように、ゆっくりやんわり引き伸ばしていくと奇麗に伸ばせます。
2人がかりで、一人が端を持ち、もう一人が少しパイプを回転させるようなイメージで延ばすととてもキレイに簡単に伸ばせるかと思います。
★ワンポイント
アルミフレキパイプを短くカットする場合、歯が欠けてもOKな100円均一などの少し大きめのハサミを使用して簡単にカットすることが出来ます。
カットする時の注意ですが、最初の切り始めは、パイプアルミの柔らかいところからハサミの歯を入れるのでOKですが、そのままアルミフレキの型ラインに沿って切り進めると、グルグル延々とカットしていくだけでパイプが切断できません。
要領は、まず、マジックなどで切りたい長さの位置で1周の繋がった線を描き、その線に沿ってハサミで切り進めていきます。その時に、アルミフレキパイプの型ラインは完全に無視して、自分で書いたライン上を切り進めていくと良いです。※蛇腹部分の芯を乗り越えていくイメージでカットしますが、少しだけ固いところがあるかもしれません。
次に、
「アルミフレキパイプは、極力曲げずにストレートに接続する」
ですが、先の画像のように排気ユニットと壁側穴までの配管が「ストレートで短い」というのが理想ですが、なかなかそういう設置が難しい環境も沢山あると思います。
その時は、アルミフレキパイプを曲げて配管するようになります。曲げて配管できるように「フレキシブル」という名が付いたアルミフレキパイプですので、曲げること自体はOKです。
ただし、曲げた配管をするときには注意点があります。
一言で説明すると、
「直角(90度)には曲げない事」
です。
パイプを直角に曲げると、パイプの中の通路上で風の行く手に、「壁」が出来るようなイメージとなります。
「壁」が出来ると、その壁にぶつかった風が跳ね返ろうとしますので、90度曲げた所のパイプ内で巻き風が発生します。
巻き風で「空気のたまり場」が出来てしまうと、その空気の塊がパイプを詰まらせてしまうのと同じような効果が出てしまい、折角吸引したミストを外に排気するどころか、排気ユニットのパワーを上げれば上げる程、逆流して互換ブース内にミストが戻ってきてしまいます。
この現象が発生すると、吸わない状態となってしまいます。
アルミフレキパイプを曲げた配管を行う場合は、下記の写真のように、風がスムーズに通過するような流線形的にするイメージで、ねじるような配管をすると互換ブースの排気ユニット性能を引き出しやすくなります。
もう一点、注意した方が良い点ですが、壁側に開ける穴位置ですが、排気ユニットの位置より「高い位置」に穴を開ける(穴がある)場合、外からの雨水などが入ってきた際、パイプ内を流れ、排気ユニットのファンに雨水がかかってしまうかもしれません。
雨水などの排気ユニット内への侵入を防ぐ為に、壁面の穴位置よりも高い位置に、一旦、パイプを立ち上げるようにして、排気ユニットへ接続するのが良いと思います。
壁の穴位置が、元々排気ユニットより低い位置にある場合は、気にする必要はありません。
下記写真はコンパネにφ125の穴を開け、ダクトカラーを取り付けたものを使用していますが、穴位置よりも排気ユニット位置が低くなっている為、アルミフレキパイプを一旦立ち上げる形で排気ユニットに接続しています。これで、少々雨水が入って来ても、排気ユニットに水が浸入することは防げるようになります。
※外壁部分に雨水等の侵入を防ぐ為の「ガラリ」というものを取り付けるのでも構いませんが、φ125用の物を探すのがなかなか困難かと思います。
取扱説明書には窓部分に設置する「疑似壁」の施工をスタイロフォームで説明していますが、可能な限り、「コンパネ」などの木の板での施工をお勧めします。
理由は、スタイロフォームは有機溶剤に弱く、日光紫外線での劣化も激しいので、定期的な交換が必要になる場合があります。
コンパネを使用する場合、やや高くなりますが、コンクリート用のコンパネ「コンクリートパネル」というものがありますので、そちらがお勧めです。
一般的なコンクリートパネルは片面が黄色い塗装がされ、ツルツルとしたものですが木が水分を吸収しないようにされたものです。この塗装面を室外側に向けて施工すると、外の雨風への耐久性も高くなります。
【配管長について】
互換ブースに付属のアルミフレキパイプは約1m~3mまで伸ばすことが出来ます。
下の設置画像は互換屋の環境で一番配管長が長い設置例です。
この一番長い設置例の配管は壁穴から立ち上げず、そのまま排気ユニット側へ降りてきていますが、室内換気用の換気扇を取外し、板を貼付けてその板に3つの穴を空けて配管しています。
換気扇がついていた場所なので、屋外側に雨避けのフードが取り付いている為、雨水が入ってくることが無い場所なので、立ち上げが不要な場所となっています。
壁面に穴が無い、穴を開けれない。という場合は、窓枠一杯の高さで幅30cm程度のサイズのスタイロフォームやカネライトフォームと呼ばれている、発砲断熱材を利用して窓部分に疑似的な壁を作ったものに穴を開けて配管する。という方法が簡単で良いかと思います。
この、窓部分に疑似的な壁を作る方法を互換ブースの取扱説明書にも記載しています。
もし、それも出来ない。という場合は、ブースを使う時だけ、窓をあけたままにしてパイプを外へ出しておく、という方法になるかと思いますが、その場合は、可能な限りパイプを窓の隙間から遠い位置までパイプを出しておくのが望ましいです。
パイプの先端を窓の下側にちょっとだけ出して挟んだような状態にすると、上部分の窓の隙間からは、勢いよく室内に外気を吸い込んでくると思うので、折角ブースで排気した臭気がそのまま屋内に戻ってくるかもしれません。
その理由は、互換ブースで室内の空気を室外へ強制排気していますので、極端に言うと、室外よりも室内の方の圧力が低くなり、外気を取り入れて気圧を保とうとしている為です。(気圧が均衡しようとする為壁や窓の隙間から排気した量と同じ空気を吸い込もうとします。)
もう一点、パイプを出した先端を下方向へ持っていくような出し方をするのが良いかもしれませんが、その理由は、溶剤などが揮発した気体は、空気より重いので、下側へ溜まるようになる為です。
排気する先がベランダなどの場合で窓を開けたままで使用する場合、上記2点を考慮すると、
窓を開けた隙間の下部分に30cm程度の板などを挟み、その上からパイプを外に出す(板から外に出し、下側にパイプの先端をぶら下げるイメージ)。
という風にすると、排気した臭気が室内に戻ってきにくくなるかもしれません。
理想的なのは、やはり、密閉した室内でアルミフレキパイプを介して壁に作った穴から排気する。という方法になります。
施工が少し面倒ですが、一番初めに設置する時点で頑張ってきちんと施工しておくと、いつでも、思い立った瞬間に、窓を開け、互換ブースを動かして、即塗装!という事が出来るようになるので、塗装をするまでに重い腰が上がらない・・・という事からは確実に解放されると思います。
★コンパネ加工の参考
先の設置例画像に使用している、コンパネの加工画像があったので、参考までに掲載したいと思います。
コンクリートパネルというコンパネが下記のようなものです。
空ける穴の下絵を描きます。φ120mmなので、少し大きめにφ125mmくらいの線を描きます。
下記の例は、ダクトカラーを置いてペンで周囲をなぞってざっくり線を描いてます。
適当に一か所ドリルで穴を空けます。このカットは、ジグソーを使って線の少し外側をカットしていますので、ジグソーの歯が入る寸法のドリルで穴を空けています。
カラーには「ツバ」があるので、φ120mmよりも少し大きく空けてOKです。ざっくり適当に穴を空けます。
カラーをはめます。
コンパネの塗装面が水濡れに強く、屋外側とするので、塗装面側からカラーを取り付けます。
室内側はこんな感じです。
ジグソー?そんな工具無いわ~、加工が面倒だなぁ~・・・という方は、最寄りのホームセンターなどで無料貸し出しや、加工自体を手伝ってもらえるところも沢山あるかと思いますので、自宅の窓枠の寸法などをしっかり測って、材料を買うお店でお願いすると楽かもしれません。
材料を購入する前にお店の人に、加工して貰えるか相談してみるのも良いと思います。
【網カラー使用時の注意点】-----------
この施工例では、網カラーを使用していますが、この網カラーは目が細かいので、サフ缶スプレーなどを使用していると、結構な頻度で目詰まりをします。
目詰まりをすると、互換ブースの排気経路を手で塞いでいるのと同じ事になるので、全く吸わなくなります(全く排気しないどころか、逆流してきます。)
ですので、網カラーのようなものを使用する場合は、頻繁なメンテナンス掃除が必須になります。
使用頻度にもよりますが、缶スプレーメイン利用の場合、大体1カ月毎の掃除が良いかと思います。
エアブラシの場合は3ヵ月に一回程度の掃除になるかと思います。
掃除は、塗料が乾燥した状態であれば、布などで網をゴリゴリと擦って顔料を落とします。
粉は掃除機などで吸うと良いです。
粗方、取り除けた後、ツールクリーナーをしみこませた布などで奇麗に拭き取ります。
この掃除は結構面倒なので、面倒臭がりな方には網カラーの利用はお勧めしていません。
外部から室内への虫の混入などが気になる方もおられるかと思いますが、これまで、殆ど排気管から虫が入ってきたことはありません。
昆虫などに詳しい方に聞いた話ですが、昆虫や虫は元々、芳香剤などにも弱いそうですので、溶剤臭が激しい配管にはあえて侵入してこないようです。
当然ながら互換ブースを動かしているときは、勢いよく風が出ていますので、入ってこれません。
使わない時は窓を閉めている。窓を開けた時は互換ブースを動かす。これだけで外部からの虫の混入は殆ど心配しなくても良さそうです。
どうしても心配な場合にお勧めする方法は、キッチンのごみネットなどを、排気ユニットの排気口に被せて、その上からアルミダクトパイプを差し込むようにすると良いかもしれません。
※この場合、なるべくネットがたるんでファンに絡まないように注意しましょう。
この方法であれば、目詰まりした時は直ぐにネットを取り換えるだけで済みますので、メンテナンスが簡単になります。
その他、設置例の画像にも映っていると思いますが、ダクトカラーとアルミフレキパイプの接続部はアルミテープで止めると、しっかりと固定できますが、アルミテープは粘着力が強い為、頻繁なメンテナンスには全く向いていません。
互換屋で実運用している塗装ブースは全て、単なる養生テープ(安くてお手軽な緑色のテープ)で軽く止めているだけです。隙間が出来ないように養生テープで止めていれば、1年程度は問題なく目貼りとして機能します。※隙間があるとその隙間から若干溶剤臭が漏れてきます。
メンテナンスで掃除する時も剥がすのが非常に簡単です。
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ダクトカラーを接着します。
接着は、バスコーキングやボンド系のものでもなんでもOKです。
画像の施工事例ではたまたま、手が届くところに転がっていた、シューグーの姉妹品スポーツグーという接着剤です。
【余談】
この接着剤は、「靴」用ですが、ラジコンをされている方であれば、良く知っている接着剤なのかもしれません。
シューグーは黒い接着剤で、スポーツグーは透明な接着剤です。イメージ的にはシューグー(黒)の方が、見た目は汚い感じですが、強い気がします。
革靴などのすり減った靴底を盛り上げて再生できる優れものです。固まったら固いゴムのようになります。固まり始めるのも比較的早いのですが、直ぐに固まるわけでもなく、使い勝手は丁度良い感じかもしれません。
ホームセンターなどの接着剤の販売コーナーに置いているところはあまり見たことが無く、靴コーナーに置いてあることが殆どです。
コンパネによる疑似壁の加工例でしたが、出来上がったものを窓枠にはめたり、L金具などで固定するなどすると完璧です。