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製品情報 互換ちゃんば

【新製品】互換ちゃんば(真空脱泡チャンバー)

こんにちは、互換屋です。

この度、新製品として、ガレージキットなどの「シリコン型製作」や「レジン注型複製」の作業における、

真空脱泡チャンバー「互換ちゃんば」(特許出願中)

を販売開始いたしました。
※出願中の特許詳細内容につきましては、質問等にお応えいたし兼ねますので、公開されるまでお待ちください。
(現時点では出願しただけですので、特許査定に至るか否かは弊社では判断できません。※特許庁の判断となります。)

真空脱泡チャンバー「互換ちゃんば」本体※初回生産分は事前ご予約で完売となっておりますが、2次ロットは5月中頃の入荷予定(5月下旬頃出荷開始)ですので、是非ご検討ください。

 

【「互換ちゃんば」の特徴】

今回販売する「互換ちゃんば」の特徴としては、

1.チャンバー本体形状が直方体なので、様々な型形状にも柔軟に対応し、複数型の同時脱泡や隙間埋めなどの取り扱いが超簡単。

2.卓上型のコンパクトながら、直方体の形状メリットを最大限に生かし、設置方向を横向き、縦向き、どちらでも使用可能なので1台で高さのある型にも対応可能。(縦置きで高さ約290mmまでのシリコン型が入ります。)

3.操作バルブや負圧計の取付け箇所を任意に決めれるので、左利き、右利きのバルブ操作性や真空ポンプとの配管取り回しなど、使用環境に応じた設置が可能。

4.今後のオプション展開も想定

5.コンパクトな構造ですので、使用しないシーズンは収納や作業場所の移動が楽です。

とかになっておりますが、特に、1と2がメインの特徴となります。

【特徴1】形が四角いので、隙間埋めが容易(当たり前ですが。。。)

真空脱泡チャンバー「互換ちゃんば」スタイロフォーム隙間埋めパターン2真空脱泡チャンバー「互換ちゃんば」スタイロフォーム隙間埋めパターン3

互換ちゃんばは空の状態で17.25Lの容量があります。
この容量全ての空気を抜くには、ポンプの性能にもよりますが1.5~2分程度の時間がかかります。その為、予め隙間を埋めて抜く空気の量を減らしておくことで、短時間(10数秒)で真空まで引くことが出来るようになります。

シリコン型などは複製対象物によって様々な大きさの型になりますが、その隙間埋めには、加工のし易いスタイロフォームなどが良く用いられます。チャンバー筐体の形状が直方体なので単純に4角形のブロック形状にカットしたもので、隙間を効率良く埋めることが出来ます。
(型の大きさや形状に応じ素早く隙間埋めが可能です。)

 

【特徴2】横、縦置きの設置対応

真空脱泡チャンバー「互換ちゃんば」本体横置き真空脱泡チャンバー「互換ちゃんば」本体縦置き

「互換ちゃんば」は、横置きでも縦置きでも、使用できるようになっています。
これは、一般的注型の場合、湯口や湯溜まりは必ず型の上部にあり、その下に原型が配置される為、どうしても高さ方向が必要になってきます。
特に、真空型は湯溜まりやエア溜まりを型内部に配置する必要があり、型自体の高さ方向が大きくなってしまいがちです。
それに対応する為、縦置きにして高さ方向を有効活用できるようにしています。
「互換ちゃんば」は縦置き、横置き、の場合、チャンバーの外で樹脂を注入後、チャンバーに入れる必要がありますが最大290mm程度までの高さのシリコン型を収納することが出来ます。
※重たい型を高く持ち上げて納めるのではなく、横からスライドする要領で収納できる為、比較的時間もかからないのと重さも苦になりません。
(ならないと思います。。。)

特にこの「特徴2」の「縦置き使用」については、幕張メッセでの「W.F.2023W」や大阪で開催された「GWC10」などのイベント実演の際に、互換屋卓にお越しいただいた皆様からも「シリコン型の複製は高さが必要なんや!」とご意見を沢山頂いたりしておりましたが、特許出願の関係でどうしても説明できない。。。
という事情があり、説明したいのを必死で堪えている状況でした。
新しい形の試作品をデモで使用する事も出来ず、一番古い試作機によるデモ実演となっておりました。

中には「縦に置いても使えそうだね」というご意見も有ったりで。。。まさに。。。今、そこは聞かないで!と思う位の質問を頂いた方もおられましたが(笑)、やはり複製作業において、ある程度の高さは重要なのだな、と改めて再確認させて頂いた点でもありました。

2023/4月早々から互換ちゃんばの事前予約を受け付け開始にて、互換屋WEBショップで商品ページを用意しておりましたが、最終的な製品画像もお見せ出来ず、不安な中ご予約いただいた方には大変申し訳ございませんでした。

が、イベントで発表していた現物仕様より実際の製品は色々と利便性や性能を向上出来ているのではないかと思いますので、きっと重宝して頂けるものと考えております。

【製品仕様詳細】

●チャンバー本体サイズ(内径):W300×D250×H230mm
(外形突起部・蓋含む):約W400×D300×H270mm

●重量:本体約5kg、蓋約2kg

●チャンバー容量:17.25L

●対応型サイズ(目安):
定常設置時:約W290×D240×H220mm
横置設置時:約W290×D220×H240mm
縦置設置時:約W240×D220×H290mm
※全て湯口を上部にした時の、チャンバーに収容可能な型サイズです。ただし、手が入るスペースは考慮していない寸法です。

●材質:(本体)ステンレス鋼、(蓋)アクリル

【「互換ちゃんば」付属品】
●アクリル蓋(厚20mm) ×1個
●負圧計(class1.6)(R1/4) ×1個
●ボールバルブ(R1/4-R1/4) ×2個
●フレアネジアダプタ(Rc1/4-1/4フレアオス) ×1個
●L型エルボー継手(R1/4-Rc1/4) ×1個
●シールパッキン ×4本
●パイプシール ×1巻
●ステッカー ×1枚
●取扱説明書

(補足)
チャンバー本体サイズ(内径)は、これまでイベントでの実演発表時は「W300×D250×H250mm(18.75L)」で発表しておりましたが、
最終製品仕様は「W300×D250×H230mm」となり高さが20mm低くなっています。

この20mmの違いが、部材仕入れ、加工製造、梱包出荷に至る様々な箇所に影響が及び、20mmを捨てる事で、当初発表の価格から大幅にコストを下げることに繋がりました。
また、当初より高さ方向(深さ)については、縦向き設置で内寸約300mmまでの高さが確保できることが分かっていた為、20mmを捨てる事と大幅コストダウンを天秤に掛け、大幅なコストダウンを選択した、というのが理由です。

 

【性能評価データ】
「互換ちゃんば」はあくまでも、ホビーユース向けの「チャンバー」ですので、真空到達度や真空到達までの時間については、ほぼ真空ポンプ側の性能とお考え下さい。
この性能評価データの意味合いとしては、どちらかというと「互換ちゃんば」の悪い部分を公開するという意味合いが強いかもしれません。
真空状態をどの程度保持できるものなのか?という所です。

下記が当社で実施した評価データです。真空ポンプは比較的入手しやすい物を2つでテストしています。
※下記データは付属の取扱説明書にも記載しています。

■真空引きテスト1(1万円以下の真空ポンプの場合)
シングルステージ、2ポールモーター、2.5CFM(60Hz)、真空到達度75ミクロン

互換ちゃんば真空到達時間シングル2ポールポンプ

(目安)
レジン注入量約150g程度の型で、ざっくりと隙間の詰め物をして、空気容量が約2.0L程度の場合、30~40秒程度の時間がかかるようなイメージです。

 

■真空引きテスト2(5万円前後の真空ポンプの場合)
2ステージ、4ポールモーター、4.0CFM(60Hz)、真空到達度15ミクロン

互換ちゃんば真空到達時間2ステージ4ポールポンプ

(目安)
レジン注入量約150g程度の型で、ざっくりと隙間の詰め物をして、空気容量が約2.0L程度の場合、15~20秒程度の時間がかかるようなイメージです。

上記ポンプの大きな違いは、2ステージとモーターのポール数です。
-0.09Mpaから-0.1MPaまでの間がポンプの性能差が顕著に違ってくるようなイメージです。
負荷が大きくなる辺りでのポンプ方式やモータートルクの違いです。

 

■リークテスト(真空保持力テスト)

互換ちゃんばリークテスト

リークテストは、互換ちゃんばを空の状態(17.25L)で、真空にした状態からどの程度の時間で外部エアが流入してくるかを評価した物です。

グラフの通り、「互換ちゃんば」完全密閉を目指した製品構造ではない為、常にエア漏れが発生しています。
つまり、真空にした直後から徐々にエア漏れが発生しています。

模型ホビー個人ユースの複製作業において、真空状態を数秒~数十秒維持できている状態を確保することを目的としている為、60秒間-0.095Mpa以上の圧力に戻らない事を正常品と規定しています。

レジンに含まれる水分などを完全除去したい場合、真空状態を数分間維持する必要があるかもしれませんが、「注型後」は、レジンは長いものでも約3分程度で硬化が始まりますので、あまり意味が無いと考えています。

もし水分を飛ばす目的であれば、硬化剤を混合する前にそれぞれを事前脱泡後、混合し注型。という流れが良いかもしれません。
注型後は、型内に樹脂を充填する目的で真空引きするという事になるかと思います。

●シールパッキンについて

「互換ちゃんば」に付属しているシールパッキンは、施工後に切れ目が出来る貼付け仕様となっています。
この点は、製品化の時点でかなり悩んだ点ですが、コスト面と真空状態を60秒間の保持に制限する。という目的と、当初繋がった状態のシールパッキンも検討していたのですが、当社内スタッフが貼付けに苦労して何度も失敗した(スタッフが不器用で繋がった物を貼るのは少し難しいのだな)という点から、切れ目の有る仕様として目を瞑ることにしました。

実際にエア漏れが発生する場所は、このシールパッキン(アクリル蓋とチャンバーの接合面)と各排気ポートに取付ける負圧計やボールバルブのネジ部分ですが、どちらかというとこのシールパッキン部分からのエア漏れの方が顕著です。

これをより厳密に防ぎたい場合は、シリコンのようなエアを通さない素材で4~5mm厚のシート状の物を用意して頂き、輪に繋がった状態で型抜きしたような形状でパッキンを別途用意して置き換えて頂くのが良いと思います。

ご参考までに、「互換ちゃんば」で必要なシール加工図面を下記にアップしていますので、ご自身で別素材で自作される方はご参考ください。

シールパッキン加工図面(参考)

●負圧計について

「互換ちゃんば」に付属している部品は、全て日本国内メーカーの製品です。

負圧メータについては、class1.6の物を採用しています。
class1.6は精度等級の事ですが、ブルドン管真空計・圧力計の精度等級には「JIS B 7505-1:2007」により下記の様に規定分類されています。

負圧計等級

 

精度等級 最大許容差 記号
メモリ範囲A メモリ範囲B
0.6級 ±0.6 ±0.9 CL0.6(class0.6)
1.0級 ±1.0 ±1.5 CL1.0(class1.0)
1.6級 ±1.6 ±2.4 CL1.6(class1.6)
2.5級 ±2.5 ±3.8 CL2.5(class2.5)
4.0級 ±4.0 ±6.0 CL4.0(class4.0)

「互換ちゃんば」では、製品目的、利用シーン、価格帯とのバランスで1.6級の採用が最も製品バランスが良いという判断で選定しています。
高精度をお求めの場合、負圧計だけで5万円前後以上の価格帯となりますが、接続ネジがR1/4タイプの1.0級や0.6級などを選定頂ければ、アダプタ―無しで本製品に取付け交換可能です。

 

(余談。開発秘話)・・・というか、何故、今頃なの?という話(汗

「互換ちゃんば」の開発ですが、実は2年程前に遡ります。
ただただ、互換屋スタッフがレジン複製やるから欲っしいねんっ!
という事で、1台目の試作を行いテストを兼ね。。。よく言い過ぎです。
趣味でレジン複製で使用していましたが、そんな中、当時ぼんやり考えていたのは、

模型ユーザー → エアブラシを使う人多い → だいたいコンプレッサー持ってる → ポンプ買う必要ない

です。(笑)

手持ちのコンプレッサーを使用し、加圧方式でチャンバー内を真空にすれば良いじゃないか!

という所から始まりました。所謂ベンチュリ―効果とベルヌーイの定理を利用した方式です。当時はキャブレターみたいなのを想像してた(笑)
※実際に部品をバキューム実装するような工場の生産ラインではコンプレッサーによる加圧エアでバキュームするような物が良くあります。

詳細は割愛しますが、皆さんが持っている道具を利用して・・・というのが頭から離れず、当初その方式で色々と実験を繰り返していたのですが、模型エアブラシ用のコンプレッサーでは、-0.05MP程度までは引けますが、そこからがなかなか(笑)
まぁ、パワーが全然足りないという事は直ぐに分かっていた事実ですが。。。

という具合で行き詰まり(加圧真空引きに拘り過ぎ)、保留となって試作物も単なる邪魔な粗大ゴミと化していたのですが。。。

再度、レジン複製でどうしても真空引きしたい。という事で、もう買ってしまえ!となり、色々と物色していたのですが、お高いな~、丸しかないなぁ~。ん~自分が欲しいのが無い。。。という事で、ふと、思い出したのが、ゴミ(笑)
箱はあるのだし。。。素直にポンプ買えば良くね?と。。。(爆)

という事で、粗大ゴミと化していたチャンバーに新たな光が当たった。という経緯です(笑)

実際のレジン複製作業に関しては、百戦錬磨の先人の方々が多数おられますので、細かい拘り処やノウハウは、まだまだ学ばせていただく事の方が多い状況ですが、自分が使ってて使いやすい、これで十分だ。という形にはある程度煮詰まってきた感じではあります。
とはいえ、業務向けでは無く、趣味寄り~業務手前くらいまでのモデラー様向けに視点を置いた構成としていますので、ニュアンス的にピッタリかも?!と思っていただける方には、ご検討いただければ幸いです。

まだまだ、改善点なども出てくるとは思いますが、今後各所イベント出展の際は、実機持参にてデモ実演等も予定しておりますので、是非互換屋卓にもお立ち寄りの上、お気軽にご指摘、ご要望等お寄せいただければ嬉しいです。

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